su_nosuke

モノのカタチ

モノのカタチ

shape of things

素材:新聞紙、水系性接着剤、アルミシート、ポリスチレンフレーム
Newspaper, Water-based adhesive, Aluminum sheet, Polystyrene frame

ある日、私は陶器を購入し、レジの横に置かれた古新聞で包みながら不思議に思ったのです。モノの価値の変化とは一体どういうことなのだろうか。そんな疑問が今回のコンセプトの原点です。

私たちは最新の情報を得るために、1つの手段として新聞を購入します。この場合、活字媒体としての価値を得ることとなり、一般的には有料です。しばらくすると情報は古くなり、活字媒体としての価値を無くします。そして紙としての価値を持ち始めます。いわゆる再利用として身近なところでは、レジの横に無料の緩衝材として置かれた光景を目にします。

しかしどんなに情報が古くても、活字媒体としての価値が全く無いとは言えません。何故なら過去の情報を得ることもできるからです。紙としての価値のみを持つ新聞も、私たちが活字媒体としてその新聞を新聞と認識した時点で、活字媒体としての価値を持ち始めます。これはモノの価値が対象者の認識により変化したと言えます。

そこで活字媒体としての価値を無くすため、新聞紙を短冊状に切り、斜めに丸めて細い棒を作ります。更にそれを不規則な長さに切り、円柱状の側面をランダムに接着し、適当な大きさまで繋げます。鑑賞者はまず円の断面が繋がったモノを見ますが、近づいたり角度を変えて見た時に文字や写真の一部を認識します。私たちは新聞紙を加工し、形を変えた場合でも、それを新聞と認識するのか、また何故そう思うのかについて考えます。

普段私たちが何気なく認識しているモノの価値基準について、改めて考えるキッカケを作ります。


Artist Profile

su_nosuke

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1973年宮城県生まれ。2010年より「無意味な線の集合体」をコンセプトにペンドローイングを始める。物や事の境界線・動の線に興味を持ち、無意識な線が創り出す抽象・具象画の中から潜在意識とそれを取り巻くものの形を読み解く。2021〜2023年MONSTER Exhibition入選、海外展にも参加する。近年は感情の線描を軸とし、立体制作も行いながら技法や作風に拘らない表現活動を行っている。