許 芯蓉 Hsinjung Hsu

善の距離

Distance of Zen

素材:砂、プロジェクター 、刷子、布、紙、カメラ
Sand, Projector, Brush, Fabric, Paper, Camera

弓道の核心理念は『真+善=美』である。「真」は正しい射法で、「善」は、常に平常心でいられる心を作ることです。「美」は、「真」と「善」が一体となった時に現われる物です。

私にとって平常心を保つことは、とても難しいことです。平常心とは、環境や機嫌に左右されないことだと思います。凍らせても燃やされても、状態があまり変わらない、まるで石のようです。弓道の世界では、礼節と相手を慈しむ事を重視します。

どんな人にも平常心で接するのは難しいです。鍛える必要があります。

つまり、「善」に達する方法は、自分の「石」を磨いて、「砂」にする事です。石は硬くて大きいが、砂は小さくて、より相容性が高いと思う。質量は変わらないが、状態が変わります。

内面を改善するため、反省をしなければなりません。自分と「善」の距離を測り、「美」に近づくための洗練する作業です。円は、始まりと終わりの集合、まさに夜と朝の繰返し、万物の循環です。絵画を勉強し始めた際に、円を上手く描けるように、何回も練習しました。日々の記録から成長の過程を見ることができます。そのため、私は30日間、毎日同じ砂の量を用いて、直感的に円を描くことで平常心を測ることにしました。円を描く時、当時の心理や心の整理状態によって、歪んだり、分配が不均になることもあります。

30日間毎日描いた円を最終的に一つの映像として見ることができる形にしました。プロジェクターで投影した30日分と床に描いた31日目の円です。一ヶ月の終わりであり、ここから新しい一ヶ月がまた始まります。私の心は、少しは「善」に近づけたでしょうか。