su_nosuke

モノのカタチ

shape of things

素材:新聞紙、アルミシート、ポリスチレンフレーム
Newspaper, Water-based adhesive, Aluminum sheet, Polystyrene frame

ある日、私は陶器を購入し、レジの横に置かれた古新聞で包みながら不思議に思ったのです。モノの価値の変化とは一体どういうことなのだろうか。そんな疑問が今回のコンセプトの原点です。

私たちは最新の情報を得るために、1つの手段として新聞を購入します。この場合、活字媒体としての価値を得ることとなり、一般的には有料です。しばらくすると情報は古くなり、活字媒体としての価値を無くします。そして紙としての価値を持ち始めます。いわゆる再利用として身近なところでは、レジの横に無料の緩衝材として置かれた光景を目にします。

しかしどんなに情報が古くても、活字媒体としての価値が全く無いとは言えません。何故なら過去の情報を得ることもできるからです。紙としての価値のみを持つ新聞も、私たちが活字媒体としてその新聞を新聞と認識した時点で、活字媒体としての価値を持ち始めます。これはモノの価値が対象者の認識により変化したと言えます。

そこで活字媒体としての価値を無くすため、新聞紙を短冊状に切り、斜めに丸めて細い棒を作ります。更にそれを不規則な長さに切り、円柱状の側面をランダムに接着し、適当な大きさまで繋げます。鑑賞者はまず円の断面が繋がったモノを見ますが、近づいたり角度を変えて見た時に文字や写真の一部を認識します。私たちは新聞紙を加工し、形を変えた場合でも、それを新聞と認識するのか、また何故そう思うのかについて考えます。

普段私たちが何気なく認識しているモノの価値基準について、改めて考えるキッカケを作ります。