德山 太郎 Taro Tokuyama

時と円 V

時と円 V

素材:アクリル絵の具、鏡

私たちは「今」、この一瞬、一瞬を生きています。
過去は過ぎ去ってしまい、戻ることはできませんが、「未来」を展望し、実現する為に「過去」に得た記憶や経験を用いて新たな「今」を築いています。
つまり 、 現在 →未来 →過去 →現在 →未来 →過去 →… 。 このループが 「 今 」 という 一瞬 の 中 で 永遠に続いていると言えるでしょう。
「過去」の経験は「今」を支え、「未来」を拓く助けになりえますし、場合によっては、「未来」の可能性を縛りつける足枷にもなりえます。
私達が忘れてはいけないことは、「今」とった行動や選択は、現代 (現在)にとどまらず、次の世代(未来)へと引き継がれ、後世に生きる人々の生活に影響を与えるということです。
私達の選択が「今」を取り結うだけの表面的なモノではなく、積み重なった問題の解決、改善を図り、出来る限り希望ある豊かな未来を次の世代に引き継いでいかなければならないでしょう。

この作品では、制作のプロセス(時間)を明示する物質的構造(色の堆積)と鏡の反射(現象)によって、視覚的イメージ(円)をつくっています。「現在」、「過去」、「未来」についての考察を促し、「未来」を築く為に「今」をどのように積み重ねていくか、鑑賞者に問いかけます。

Artist information

マドリッド・コンプルテンセ大学芸術学部卒業。  
表層的な「現在」とその中に内在する記憶や経験などの目に見えない「過去」、これから創造する「未来」の関係性を探りながら本質的な「存在」に迫ることを試みている。
コンプルテンセ大学芸術学部(スペイン・マドリッド)、アイリョン市現代美術館(スペイン・セゴビア)、アントニオ・ガラ財団(スペイン・コルドバ)が作品を所蔵している。